システムエンジニアのフリーランスとして活動するのは、自分の思い描いた働き方を追求・実現できるので気持ちが高鳴り、モチベーションも上がります。ただし、フリーランスとして活動を始めるには、事前に準備しないといけない事が結構あります。このブログでは、自身の経験を基に、実際に準備として行った事について記載します。準備する事は「必須でやらないといけない事」、「必須ではないですが、やった方が良いこと」に分ける事ができます。
この記事では、「必須ではないですが、やった方が良いこと」について記載します。「必須ではないですが、やった方が良いこと」とは、やらなくても良いけど、やった方が安心且つ負荷軽減につながるという意味です。「必須でやらないといけない事」については、フリーランスになる前に準備すべきことの記事をご覧ください。
1⃣ 仕事用の連絡手段(メルアド、SNS)の準備
フリーランスエンジニアになると、関係者との全ての連絡を自分で行います。案件紹介の依頼、案件探しでの営業担当との連絡、案件メンバーとの連絡など、連絡が必要な場面は様々です。そのため、連絡手段は絶対に必要ですし、その連絡手段は自分で準備する必要があります。
多く使われるのは、メールです。そのためメールアドレス(Gmail、レンタルサーバメールなど)は、絶対に作成しましょう。可能であれば、個人用とは別に仕事用のメルアドを作成するのが良いです。プライベート用を使っても問題ないですが、仕事に関する資料やメッセージを間違って個人(友人、知り合いなど)に送ってしまうリスクがあり情報漏洩に繋がるので危険です。
また、最近はLINEを使う事が多くなっています。メッセージのやり取り以外にも、経歴書の送信などで使います。メッセージやファイルの交換が、LINEの方がメールよりも早く出来るので効率的です。また、Slackを使って、請求書をお客さんに送付しているフリーランスエンジニアもいます。SNSを使用する際も、仕事用を準備する事をお勧めします。
ただ、どの手段で連絡を取り合うのかは、お客さんやエージェント・SES企業によりますので、先ずはメールを入り口にして、そこからどのSNSを利用するか確認するのが一番確実と思います。
2⃣ リモートワーク環境の構築
フリーランスエンジニアは、案件に参加する際お客さんのオフィスに出社するのが普通でしたが、コロナの影響によりリモート案件が大幅に増加しています。案件の最初の数日~1週間だけ案件の説明でお客さん先に出社し、後は全てリモートでの作業をする具合です。
インターネット環境の準備
リモート案件と言う事は、自宅での作業が多くなりますので、テレワーク用のPCとインターネット環境の構築が必要になります。ただ今の時代、インターネット環境であれば、ほとんどの方が既に設定済みですし、仮にまだ設定していないとしても、プロバイダーに申込みをすればすぐにネット環境は準備できますので、そこまで心配する必要はありません。
セキュリティ対策
準備するのはインターネット環境だけではありません。仕事で扱うのは、一般に公開できない情報となります。設計書やプログラム、サーバへのログイン情報など、絶対に外部に漏れてはいけない情報が沢山あります。それらの情報が洩れないようにするために、セキュリティ環境の構築が重要となります。主なセキュリティ対策は以下の通りとなります。
- ウィルス対策ソフトのPCへのインストール
- LANに接続する際のパスワードの設定
- テレワークPCのOSとソフトウェアの最新バージョンへの定期更新
- 覗き見防止フィルター(レンタルオフィスで作業する場合など)の準備
- 怪しいサイトへのアクセス制限
リモートで働く場合、自分へのセキュリティに関する責任は大きくなります。PCがウィルスに感染し情報漏洩やプログラム破壊など起きれば、案件に多大なる損害を及ぼし、さらに自分への信頼が無くなってしまい、その後の仕事に影響を及ぼしかねません。なので、リモート案件に参加する時のために、セキュリティ環境の準備はしておいた方が良いです。
3⃣ 積立制度の調査、申込み
フリーランスは、会社員の様に退職金もなければ、雇用への補償もありません。そのためフリーランスにとって、資産形成はとても重要になります。では、資産形成をどのように行えば良いのか」についてですが、急いで行う必要はありません。収入の一部を積立に回して少しづつ資産を増やして行けば良いです。以下表は、主な積立制度のリストとなります。
No | 制度名 | 概要 |
---|---|---|
1 | 小規模企業共済 | 小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度。 詳細「小規模企業共済」をご覧ください。 |
2 | iDeco(個人型確定拠出年金) | 自身で決めた掛金(毎月積み立て)と自身で選んだ商品を運用し、原則60歳以降に受け取ることができる年金制度。詳細「iDeCo公式サイト」をご覧ください。 |
3 | 国民年金基金 | 国民年金に上乗せして掛け金を支払うことで、将来受給する年金額を増やせる制度 詳細「国民年金基金制度」をご覧ください。 |
4 | 私的保険会社の積み立て | 各保険会社が提供する、私的の積立サービス。 |
5 | 国民年金の付加年金保険 | 毎月の国民年金保険料に400円の付加保険料を上乗せして納めることで、将来受給する年金額を増やせる制度。詳細「国民年金の付加保険料」をご覧ください。 |
5つの制度はそれぞれ特徴があります。例えば、小規模企業共済には貸付制度がありますし、またiDecoは運用益が非課税になるメリットがあります。それぞれの特徴を確認し、自分に合った制度を始めるのが良いです。上記制度への加入ですが、必ずしもフリーランスの準備段階で入る必要はありません。フリーランスとして仕事が軌道に乗った時点で入ることもできます。
4⃣ 事業用の銀行口座の作成
個人用とは別に、事業用としての銀行口座を開き、契約金などの振込や仕入れなどの支払い用の口座として使用します。個人と事業用で口座を分けることで、以下の2点のメリットがあります。
お金の正確な把握がしやすくなる
- 事業に関するお金の動きを、把握しやすくなりなります。それにより、収支に関する問題点などが明確になり、対応を行う事ができます。
確定申告の際の負担の軽減
- 確定申告の際、通帳の内容を明細として使えるます。そのため、会計ソフトで仕訳を作成する場合、口座内容をそのまま記載するだけですので、口座を分けない場合と比較して、各段に記帳の手間が省けます。
税務署に開業届を提出する際、「屋号」を登録した場合、屋号を使って銀行口座を作る事をお勧めします。その方が、取引相手や新しいお客さんからの信用が得やすくなります。
必ずしも口座を分ける必要はありませんが、フリーランスにとってお金の正確な把握は大切なので、口座を分けてお金を管理する事をお勧めします。
5⃣まとめ
フリーランスとして活動するには、ITに関する技術や知識が必要となり、常にアップデータを行う必要があります。しかし、それ以外にも、フリーランス活動を行う為の環境作りがとても重要になります。会社員であれば会社が行ってくれる事を、自分でやらないといけません。一つ一つの事は、そんなに難しくなく手間もかかりません。しかし、環境作りは、この記事で記載さした4つのこと以外にも沢山あります。そのため、一度に全ての事を行うのではなく、計画的に優先度をつけて準備することお勧めします。
この記事で記載されている4項目は、フリーランスエンジニアになる前に「準備した方が良いが、準備しなくても問題ない事」を記載しています。必須で準備すべき事に付いては、「フリーランスエンジニアになる前に準備すべきこと」のリンクを参照ください。