システムエンジニアのフリーランスは、自分の希望またはスキルに合う案件を探し、契約を遵守しながら自分の技術をお客様に提供することにより、お金(契約金)を稼ぎます。このように案件を探し、お金をもらう一連のプロセスを実現するためには、フリーランスとして活動を始める前に準備しておくべきことがあります。
この記事では、自身の経験を元に、実際に行った準備事項について記載します。1つ1つの準備事項は、それほど複雑ではないですが、数がそこそこあるので、フリーランス活動を始める予定日から逆算して予定を立てると良いです。自分の場合は、会社員として働きながら準備をしたので、2か月の期間を掛けて準備しました。
フリーランスエンジニアになる前にやるべきことは、全部で6つあります。この記事では、主に作成が必要な資料や活動資金に関する3項目について書いています。他3項目については、フリーランスエンジニアになる前にやるべきこと〔その1〕をご覧ください。
1⃣ 技術経歴書の作成
自分はエンジニアとして何をしてきて、何ができるのかを整理した資料です。
システムエンジニアの場合、多くの場合お客様のプロジェクトに1メンバーとして参加する形となるので、自分を売り込む必要があります。その際に重要になるのが、技術経歴書です。
お客さんのプロジェクトに参加する場合、自身が興味のある案件のオーナーであるお客さんへ技術経歴書を送付し、お客さんが興味持てば、面談を行います。面談の際も、技術経歴書を基にお話しをします。そのため技術経歴書は、フリーランスのシステムエンジニアとして活動するには絶対に必要なツールとなります。
1⃣-1 技術経歴書の書き方
経歴書の書き方は、テンプレートは自由ですが、お客さんが読んで興味をもってもらえる内容が良いです。お客さんが一番注目するのは、「経験」です。今までエンジニアとして何をして来て、プロジェクトでは何ができるのかを見ます。なので、経歴の部分は、分かりやすく記載する必要があります。
経歴部分の記載内容は、過去に参画した案件ごとに、以下項目となります。
記載項目 | 説明 |
案件概要 | 「誰に何を提供したプロジェクト」かを意識して書く。 (例)精密機器製造業のお客様向けに、販売管理システムを開発する案件 |
案件での役割 | 参加した案件での、自身の立ち位置。 (例)PG、SE、リーダ、PMOなど |
タスク | 担当した作業。 (例)要件定義、設計、プログラミング、リリースなど |
環境 | 案件で使用した開発環境。 (例)Windows Server、Red Hat、AWSなど |
PG言語 | 案件で使用した開発言語。 (例)PHP Laravel、JAVA、Python、C# など |
参画期間 | 案件に参画した期間(From, To)を記載します。 長く案件に参加した経歴があると、お客さんへの印象が良くなります。 |
技術経歴書については、ネット検索からテンプレートをダウンロードできます。ダウンロードしたテンプレートをカスタマイズすると、簡単に作成できます。検索のキーワードは、例えば「技術経歴書テンプレート システムエンジニア」または類似するキーワードが良いです。
技術経歴書は作って終わりではありません。お客様との面談では経歴書の説明を求められます。その際、スムーズかつ分かりやすく話す事ができれば好印象を、お客さんに与えることができます。話す際のポイントについては、「面談での技術経歴書の説明ポイント」をご覧ください。
2⃣ 請求書テンプレート作成
収入に直結する重要な書類です。会社員だと、毎月稼働時間を会社に報告し、給料が口座に振り込まれます。一方、フリーランスは、月ごとの作業時間をお客さんに報告するのと合わせて、請求書を提出します。お客さんは、その請求書に記載されている金額を、決まった支払いサイト(期間)に従って、エンジニアへ支払いを行います。請求しないとどうなるか・・・お金は支払われないと言う事になります。
そのため、フリーランスにとって請求書の作成および提出は、毎月の大切な事務作業となります。
請求書のテンプレートは、インターネットからダウンロードできますので、ダウンロードしたテンプレートをカスタマイズすると、簡単に作成できます。検索のキーワードは、例えば「請求書テンプレート 個人事業主」または類似するキーワードが良いです。
2⃣-1 請求書の項目
請求書のレイアウトは自由ですが、主な項目は以下の通りです。
請求書の主な項目一覧
項目 | 説明 |
請求日 | 請求書の発行年月日、作成年月日 |
期間 | 請求の対象となる作業期間 (例:2020年9月1日~2020年9月30日) |
請求金額 | 単価(1品の金額)、金額(単価 x 数量)、金額(税込) |
作業内容 | 案件名、提供したサービス内容 |
振込先 | 請求金額が振り込まれる銀行口座 (銀行名、支店名、口座番号、名義) |
請求先 | 請求先企業(お客さん)の名前と住所 |
請求元 | 自身の名前(屋号)と住所 (個人事業の開廃業等届出書 に記載した住所) |
3⃣ 貯蓄(資金)
フリーランスになってから最初の収入までの期間の生活費です。フリーランスになってから最初の仕事探しの期間は、未収入になりがちです。例え1~2週間で仕事を見つけたとしても、仕事の開始は翌月になるのが一般的です。そのため、最短でも1ヵ月間は仕事探し期間となります。
また、報酬は毎月支払われますが、報酬が自分の銀行口座に振り込まれるタイミングは、案件によって異なります。早くて翌月の後半、遅くなると翌々月になります。
そのため、最初の報酬を受け取るまでに最短でも以下の期間を乗り切る必要があり、最短でも3か月間は未収入になる可能性があると考えた方が良いでしょう。
- 案件を探すための1ヵ月間
- 最初の案件月の1ヵ月間
- 最初の報酬を受け取るまでの約1ヵ月 ※月末払いの場合

上記イメージは、1ヵ月で仕事が見つかったケースです。案件仕事探しに、さらに日数が掛かる場合は、未収入の期間がさらに増えます。
そのため、未収入の期間を過ごし切るための蓄えをしておくことが重要となります。自身の時は、独身で一人暮らしだったので、4ヵ月間未収入を想定して100万円を貯金していました。
4⃣まとめ
フリーランスとして活動するためには、ITの技術・知識そして実績が必要となります。しかし、どんなに素晴らしい技術や実績があっても、相手(お客さん、エージェント)にうまく伝わらなければ、案件を見つける事は難しくなります。そのため、技術経歴書はとても重要になります。
また、ITの事だけを考えるだけではダメです。お金の管理は、すべて自分で行う必要があります。この記事では、初期費用と請求に関して記載しましたが、それ以外にも経費管理や確定申告もあります。
フリーランスとして活動するには、IT以外の知識・スキルをしっかりと身に付けていく事が、とても重要となります。すぐに出来るようになる必要はありません、失敗を繰り返しながら、徐々に身に付けていくと良いです。