フリーランスのシステムエンジニアは、主にお客様のプロジェクトに1メンバーとして参画(在宅、常駐)します。参画するには、事前にお客さんと面談をして、その面談で評価を得る必要があります。そのため、面談での話す内容や話し方はとても重要になります。この記事では、私の経験から、お客さんとの面談で押さえておくポイントについて記載します。
1⃣技術経歴書のサンプル
ポイント説明のために、わたしが実際の案件探しで使用している技術経歴書をサンプルとして使用します。以下サンプルは、実際の技術経歴書を抽象化したイメージになります。
(実際は、エクセルに記載しています。)
「①基本情報」欄、「②技術サマリ」欄、「③主な業務経験」欄の3つのセクションで構成していて、見やすさや、説明しやすさを意識して作成しました。
技術経歴書の作成ポイントについては、技術経歴書の作成ポイントをご覧ください。

2⃣はなす範囲を絞る
経歴書には、スキル、経歴、強みなど細かく記載されている事が多いです。そのため、限られた時間で記載されいてる事すべてを話すと、お客さんに自分のアピールしたい内容が伝わらなくなります。そのため、話す内容を絞ると良いです。内容を絞る場合のポイントは、以下の通りです。
①経歴欄のみに絞る
経歴欄は、上記サンプルの「③主な業務経験」欄になります。お客さんは、「技術者が、今まで何をして来て、お客さんのプロジェクトのために何ができるのか」を実践的な観点で見ます。なので資格、学歴や知識に関する内容よりも、経歴欄に注目します。経歴欄は、「過去に参画したプロジェクトの概要、担当した職務やタスク、参加期間を時系列に整理した経歴の一覧」となります。つまり、経験値の一覧です。
上記サンプルの「①基本情報」欄、「②技術サマリ」欄は、質問をされたら答える程度で良いです。自分からお話しをする必要はありません。
②経歴欄の絞り方
経歴欄の説明をする際、「どの経歴をいくつに絞るのか」ですが、
案件に関連する経歴を2~3つに絞ると良いです。理由は、お客さんは、自身のプロジェクトに関連する内容を最も重要視するからです。また、絞る経歴数も、少なすぎてもアピールになりませんし、多すぎると内容が相手に伝わり難くなります。なので、少なくても2つに絞る事をお勧めします。
③経験が浅い場合の対応
絞るほど経験がないという場合は、以下の内容を伝えると良いです。
- 経歴書の中で案件に関連しそうな個所(なんでも良い)や自身の強み
- 面談中の案件に参加したい理由
- やる気(どのようにして案件へ貢献しようと努力するか)
経験値が少ない事は、お客さんも経歴書を見て分かってるので、「なぜその案件に参加したいのか」という理由と「できないなりに何を頑張るのか」を話し、前向きな姿勢をアピールする作戦です。お客さんの中には、前向きなエンジニアに対して評価する場合がありますので、「一緒に働いてみたいな」と思わせる事が重要です。
また経験値が少ない場合、お客さんからよくされる質問があります。面談前に答えを準備すると良いです。
- この案件はどんな案件かと思いますか?
お客さんからすると、エンジニアとしての経験が浅いと、そもそも案件を理解できているのだろうか、と思います。簡単に説明できると良いです。
- 分からない事がある場合、どうしますか?
案件では、分からない事を調査・質問しながら担当タスクを進めて行く必要があります。経験が浅いと、分からない事が溢れます。そのような時にどのようなアクションが取れるのかを、お客さんは気にします。ただ「分かる人に質問します」「検索ツールで調査します」のような回答だと評価は得られないです。
では、どのような回答が良いかと言うと「調査した内容を整理して、どこまで理解できたかを明確にします。その上で分からない事を洗い出して、分かる人に時間をもらい質問します」のような回答が良いです。分からない事は、マイナスではないです。分からない時に、具体的にどのようなアクションを取るのかイメージすることが重要です。
3⃣経歴を説明する際のポイント
2~3つに絞った経歴ですが、各経歴ごとに以下の内容をお話します。
①案件のお客様の概要
上記サンプルの、③「プロジェクト概要」項目になります。
過去参画した案件のお客様概要について、一言二言で話します。具多的に説明する必要はありません。以下の例のように簡単な説明で十分です。
例)精密機器を製造・販売しているお客様、損害保険の相談・アドバイス・販売をしているお客様
②案件概要
上記サンプルの、③「プロジェクト概要」項目になります。
過去参画した案件がどの様な案件かを、一言二言で説明します。上記「①案件のお客様の概要」同様に具体的な説明は不要です。
例)精密機器の受注~納品までプロセスを管理するシステムの開発、損害保険の設計から契約締結までの情報を管理するシステムの開発
③自分の位置づけ(役割)
上記サンプルの、③「職務」項目になります。
自分が担当した職務のタイトルと概要を明確に伝えます。
例)職務の概要は、PGであれば「設計書に沿ってプログラムを行った」、PMOであれば「各チーム間の調整や打ち合わせでのファシリテーションを行ったなど、一言で伝えると良いです。以下例です。
- タイトル:PG、SE、リーダやPMO など
- 職務概要:設計書に沿ってプログラムを実装した、各チーム間の調整や打ち合わせでのファシリテーションを行った など
④自分の担当したタスク
上記サンプルの、③「作業内容」項目になります。
自身の職務(タイトル、概要)を伝えた後で、一歩踏み込んでどんなタスクを行ったかをお話します。タスクが多い場合は、2~3つに絞ると良いです。
例えば、SEであれば、以下3つのタスクとなります。
- 要件書の内容の理解と関係者への確認
- 要件書の内容を受けて設計書の作成およびレビュー
- PGへの設計書の内容説明および開発サポート
⑤開発環境(言語、技術、環境)
上記サンプルの、③「開発環境」項目になります。
案件で、実際に使用した言語、技術、環境の説明項目となります。
この項目では、面談している案件と関係のある言語、技術、開発環境の記載があれば触れると良いです。お客さんへのアピールになります。
⑥案件への参画期間
上記サンプルの、③「期間」項目になります。
実際に案件に参加した期間となります。この項目では、参画が長い期間の記載がある場合、触れるとお客さんへのアピールとなります。
上記①~⑥を、各経歴行ごとに繰り返します。
4⃣経歴を説明する際の話し方
ここまでは、話す内容についてのポイントを記載しましたが、ここでは「話し方」のポイントについて記載します。話し方のポイントは2つです
①話すスピード・声の高さ
話すスピード・声の高さは重要です。早すぎても・遅すぎてもまた低すぎても・高すぎても、相手に自分のアピールが伝わり難くなります。適度なスピード・高さで話すことが重要です。スピードは、普段よりも少し遅いスピードを心がければ大抵大丈夫です。
これは、リモート面談の際も同様です。リモートでの面談は、タイムラグ(自身の話し声が、相手に聞こえるまでの時間のズレ)が発生してしまう事があるので、普段よりも遅いスピードを意識すると良いです。
一方、話す声の高さは、面談を行う場所によって異なります。今までの経験では、以下5か所での面談を行ってきました。
- 会議室
- リモート(Zoomなど)
- 打合せスペース(オフィス内のテーブルと椅子が置かれたスペース)
- ビルのエントランスロビー
- カフェ
上記内容から、1と2については周りの音は無いので、声が少し低くても問題ないです。しかし3~5では、周りの音がかなりの確率で入ってきますので、負けない位の高さで話す必要があります。状況に応じて、声の高さの調整が必要です。
②流暢な話し方
話し方が途切れ途切れだと聞きづらくなり、どんなに話す内容が良くても、お客さんに伝わり難くなります。そのため、普段の会話の様に、流れる自然な感じでの話し方が必要です。話し方のポイントは3つあります。
・はなし始め
いきなり本題(経歴紹介)のではなく、自己紹介と経歴書について説明する旨を伝えます。相手への印象が良くなりますし、本題の経歴書の説明に自然な形で入れます。基本的な事ですが、結構できない技術者の方は多いです。
例)技術者太郎と申します。経歴についてお話をさせて頂きます。よろしくお願いします。
・つなぎ
トピックとトピックのつなぎを、自然な形で繋げられると良いです。話しの前後がスムーズにつながると、お客さんが聞き取り易くなり、こちらの伝えたい内容が伝わりやすくなります。
例)一つ目の経歴についての説明は以上になります。つづいて2つ目の経歴について説明します。~~
・確認
特にリモートでの面談に、言える事です。リモートでの面談は、ネット回線に依存します。画像や音声が途中で止まってしまったり、タイムラグ(自身の話し声が、相手に聞こえるまでの時間のズレ)が発生してしまい、相手に自分の伝えたいことが聞こえ難い場合がありますので、コンスタントに「ここまでよろしいでしょうか」のように、相手に説明内容が聞こえているか確認する事が重要です。
・説明後の締め
「最後良ければすべて良し」なんて言葉もあるので、最後はしっかりと締める事が重要です。
”私の経歴については、以上となります”の一言があると、聞き手は説明が終わったのかどうか困惑せずに、自然に質疑応答に入れるので、とても重要です。
話すスピード・声の高さ、流暢な話し方は、どちらも超基本的なことで、特別な事ではないです。しかし、いざ面談になるとできない事が多くありますので、面談前に練習をすることをお勧めします。自分の場合、面談のたびに、話す内容を3回くらい声に出して反復します。
5⃣まとめ
お客さんによっては、話し方のうまい下手を評価の一つに入れている場合があります。若いうちは大目に見てもらえますが、歳が上になると厳しくなります。直ぐに出来るようになることは難しいですが、場数を踏みながら少しづつ精度を上げていくと良いですね。