フリーランスエンジニアは、多くの場合お客さんが立ち上げたプロジェクトに参加し、任された役割やタスクを実施し対価をもらいます。しかし、プロジェクトに参加するには、事前にお客さんさから一定の評価を頂く必要があります。
お客さんによる評価方法は面談です。エンジニアの人柄、能力、スキルに対する評価となります。面談では、話し方や受け答えの良し悪しが、評価に大きな影響を与えます。そのため、フリーランスエンジニアにとって、面談でお客さんから評価をもらう事は、大変重要なスキルとなります。
この記事では、お客さんから評価をもらえる面談のポイントに付いて記載しています。
面談以外の評価方法は、経歴書の内容への評価があります。エンジニアが身に付けているスキルや今まで参加してきた経歴への評価です。お客さんに評価される経歴書の作成方法について、フリーランスエンジニアの技術経歴書の作成ポイントをご覧ください。
1⃣ 不利な経歴には回答を準備する
面談の際、お客さんは以下の2つの観点からエンジニアを評価します。
- プロジェクト内容にマッチした技術や経験が十分にあるか
- 働き方に不安な点がないか
1⃣-1 プロジェクト内容にマッチした技術や経験が十分にあるか
お客さんとしては、もちろん即戦力を求めています。そのため、プロジェクトで必要な技術の経験がない、または経験があっても十分とは言えない場合、その点について指摘をしてきます。その時、黙ってしまったり、素直に認める事は避けた方が良いです。お客さんからすると、「じゃあ、なんでこの面談にきてるの?」ってことになり、マイナスの印象を持たれるからです。
では、どのような回答が良いのかですが、肯定および前向きな回答を心がけると良いです。お客さんの指摘が合っている場合、先ずは指摘が正しい事を認め、その上で前向きな回答により、やる気と潜在的な可能性をアピールし、ポジティブな印象をお客さんにもってもらう様にする。
例えば、お客さんからあるPG言語の経験が足りていないと指摘を受けた場合、以下のような回答が良いでしょう。
「ご指摘の通り、経験が十分とは言えないです。ですが、プロジェクトに参加させて頂いた場合は、最初の1ヵ月間くらいは、質問などをさせて頂く事でお時間やご助力を頂く事になるとは思いますが、最終的には1戦力としてプロジェクトに貢献できると考えています。」
少し長いですが、要は「最初は少し足を引っ張るけど、後から役に立つように頑張る」と言う事です。お客さんの指摘を認め、その上でやる気と潜在力をアピールし好印象を得る作戦です。
また、お客さんからの質問の中で、比較的よく聞かれるのは「XXXXをできますか?」という質問です。この質問はかなり曲者で、「できますか?」がどの程度ならできると言えるのか、がまったく不明です。そのため、探りを入れるために、「例えば何ができるとかありますか?」と聞くのが良いです。それにより、具体的に何が、どの程度か明確にし、回答しやすい状況を作ります。
1⃣-2 働き方に不安な点がないか
上記1⃣-1に加えて、お客さんが経歴書を見てチェックする内容は、ちゃんと働いてくれるか、になります。具体的には、経歴書の中に記載されている、技術者が過去に参加してきたプロジェクトの参加期間を見ます。お客さんは、多くの場合、長期でプロジェクトに参加できるエンジニアを探します。
そのため、参加期間が短い経歴が複数あると、お客さんはエンジニアの人間性(性格)や健康状態などに課題があるのではと疑い、マイナス評価となってしまうリスクがあります。
それでは、参加期間が短い経歴がある場合はどうするのが良いかですが、お客さんが納得する回答を用意する、事が必要になります。例えば、「いろいろな案件を経験し、技術や知識を向上させたいと思っていた時期でしたので短期で案件を換える事がありました。しかし、今は長期で1つの案件に参加したいと思っています。」とか「そもそも短期の案件でした!」など、少し無理がありますが、前向きな回答をして、少しでもマイナス評価のインパクトを減らす努力が重要です。
ただ、回答の結果、お客さんがどのように感じ判断するかは、神のみぞ知ると言う事になりますね。
2⃣ 経歴書の説明はしっかりと
お客さんとの面談に臨む際、ほぼどの面談でも、自身の経歴書の説明を行います。そして、お客さんの中には、経歴書の説明がうまい下手を評価の一つに入れている場合があります。なぜなら、物事を分かりやすく伝えるのは、仕事をする上で、とても重要だからです。そのため、経歴書の説明を行う際、お客さんにわかりやすく伝わるように説明を行う事を心がける必要があります。
経歴書の説明のやり方については、お客さんとの面談に臨む際のポイントについての記事をご覧ください。
3⃣ 前向きな回答を心がける(はったりをかます!!)
面談でお客さんからよく聞かれるのが、「これできますか?」「あれできますか?」と言うような、「~~できますか?」質問です。例えば、開発案件で、「AWSで、PHPのLaravelの開発環境の設定できますか?」「お客さんから要件を聞いて、資料化することできますか?」と言った内容です。
このような質問をされた時に、経験や実績があり自信がある時は、「できます!!」と回答できます。しかし、経験や実績が少なく、自信がない場合があります。その時「できません」、「あまり自信はないです」と言うような内容の回答をしがちになります。しかし、そのような回答は、避けてください。
正直に、自分の能力について回答する事は、とても人としては良いのですが、お客さんからはマイナスの評価となります。面談に限って言えば、「正直者はバカを見る」といった感じですね。
では、どのような回答が良いかと言うと・・・
- 全く経験がない場合
「今まで経験や実績は無いです。ただ、案件に参加させて頂けた際は、最初は勉強や質問をさせて頂き迷惑をお掛けしますが、直ぐに戦力になるように努めます。」 - 経験が「ある」が、「少なく自信がない」場合
「基本的な部分に関しての経験・知識はありますので、分からない内容があっても、自分で調査・理解して、実務に反映する事ができます。最初は少しお時間を頂きますが、すぐに戦力になれます。」
と言うような、「自信がない」「力は十分ではない」ことを認めた上で、「努力して直ぐに案件の戦力に慣れます」、という感じで回答するのが良いです。前向きな回答を心がけると、お客さんからは「今は出来なくても、先々で戦力になってくれるのでは」と評価・期待をしてもらえます。何でも、完璧に出来る人はいないので、「できないけど、何とかするね」という感じで、アピールのが良いです。
4⃣ お客さんは、「技術」や「経験」だけを見るわけではない
フリーランスエンジニアは、「即戦力」が求められます。つまり、自身の持っている「技術」や「経験」を活かし、プロジェクト迅速に貢献する事を、お客さんから求められます。そのため、お客さんは、「技術」や「経験」が豊富な技術者を優先します。
それでは、「技術」「経験」が十分でないと、フリーランスエンジニアとして案件を獲得できないの?若い人はフリーランスエンジニアに慣れないの?と思いがちですが、そうではありません。
確かに、「技術」や「経験」が求められる以上、「年齢=経験、技術」となるのは事実ですが、「経験」や「技術」だけが、お客さんの求めている要素ではないです。それでは何かというと、「人間性(協調性)」や「資質(伸びしろ、やる気)」となります。
- 人間性
「他メンバーと良好な関係を築ける」、「勤怠を守る、連絡をする」 - 資質
「状況に応じて柔軟な対応ができる(心がける)」、「難しいと事でも、積極的に挑戦する」
どんなに「技術」「経験」がすぐれていても、「他メンバーと仲が悪い」、「勤怠を守らない」、「リーダの指示に従わない」、「文句が多い」「自分のやり方に固執する」などのような、日常業務に対する姿勢が良くないエンジニアを、お客さんは敬遠します。また、お客さんの中には「技術は、案件の中で学んでくれれば良い」と考えて、「人間性(協調性)」や「資質(伸びしろ、やる気)」に重きを置く場合もあります。
そのため、「技術」「経験」が不足しているからと言って、悲観する事はありません。「技術」「経験」が十分では無い場合、「人間性」「資質」をアピールして、お客さんから評価をもらう作戦を実践する事をお勧めします。
5⃣ 最後に
フリーランスのエンジニアにとって、お客さんとの面談はとても重要で避けては通れないイベントです。どんなに素晴らしい技術・知識があっても、面談で評価をもらえなければ、案件に参加できません。逆に、多少力が足りなくても、面談で評価をもらえれば、案件に参加できます。
ITの知識や技術はもちろん重要ですが、同様に面談で良い評価をもらう面談力も大切な技術の一つとなります。面談で自分の良さをアピールできる様に、工夫を繰り返して、徐々に自分のスタイルを確立する事が大切です。