フリーランスエンジニアになると、参加する案件への貢献度やスキル、経験によって報酬は異なります。もちろん高いスキルと多くの経験値=報酬↑↑になります。しかし、高スキル/多経験があれば、自動的に報酬が上がるわけではありません。あくまでも、それらは報酬を上げるための材料です。
それでは、どうすれば報酬↑↑になるかと言うと、材料をうまく活用し、お客さんと交渉することで、報酬UPを実現します。しかし、やみくもにお客さんと交渉を行っても、報酬UPにはつながりません。また、お客さんから交渉を嫌がられ、逆に評価を落としてしまうリスクがあります。交渉を行うには、適切なタイミングで行う必要があります。
この記事では、フリーランスエンジニアの報酬をUP↑↑するための交渉を行うタイミングについて記載します。
1⃣ 交渉のタイミング
1⃣-1 継続案件での1年ごと
継続案件での1年ごとの交渉。フリーランスエンジニアの案件は、長期間プロジェクトの場合が多いです。そのため、一つの案件に1~2年間参加する事はよくある事です。
お客さんは、基本会社員となります。会社員の昇給は、通常1年に1回となっていますので、その慣例(会社ルール)を利用して、報酬UPの交渉を行います。
会社員であるお客さんは、1年に1回昇給と言う考えが根付いています。そのため、フリーランスエンジニアから「案件に入ってから1年がたったので、報酬のご検討をお願いします」といった報酬UPの依頼をする事は、会社員であるお客さんにとっても、自然な交渉のタイミングとなります。
1年の間、同じ案件に居ると言う事は、お客さんから評価されていると言う事なので、満額ではなくても報酬がUPする可能性が高いです。1年も待てないなあ~と思うかもしれませんが、自分の経験上アッと言う間に一年は過ぎます。なので、交渉のタイミングを逃さないように、案件の参加期間をしっかりと把握する事が重要です。
1⃣-2 契約更新期間の拡大時
フリーランスエンジニアとして参画する案件は、多くの場合3ヵ月(3ヵ月以外の場合もある)ごとに契約の更新が行われます。しかし、案件によっては、案件に参加した時は3ヵ月ごとの契約更新でも、途中から6ヵ月、又は1年ごとの更新へ契約期間の拡大をお客さんから打診される場合があります。
契約更新期間の拡大の打診を受けると言う事は、それだけお客さんから評価をされていると言う事になります。また、更新期間の拡大に伴い、新しい役割・タスクをお願いされる可能性が高いです。
そのため、契約更新期間の拡大の打診に前向きの場合、打診を承諾する前に、契約金額UPの交渉を行う事をお勧めします。「契約更新期間の拡大を受けるので、契約金のご検討をお願いします」(言い方はオブラートに包んでね)と言った建付けで、交渉する事は、お客さんにとっても自然な形です。
自身、上記の経験があります。案件参加時は3ヵ月ごとの契約更新でしたが、途中から1年ごとの契約更新の打診を受け、契約金額UPの交渉を行いました。その結果、満額ではありませんでしたがUPする事ができました。
1⃣-3 案件での役割変更時
フリーランスエンジニアとして参画する案件は、長期期間になる事が多くあります。そのため、長期間いるエンジニアになるとプロパー(お客さん側の社員)よりも仕事を覚えて、結果プロジェクトの中心メンバーとなる事があります。そのようなエンジニアは、お客さんからの高い評価、信頼を得ているので、新しい追加のタスクや役割の拡大を依頼される事があります。
タスクの拡大、役割の拡大とは、以下のような場合を示しています。
- タスク
細かな作業の追加ではなく、既存の作業範囲以外の領域のタスクのこと。
例1)既存のタスク「設計書の作成+開発+テスト」に追加で、テスト後の
「システムリリース」や「保守・運用」
例2)既存タスク「設計書の作成+開発+テスト」以外に、システムを使用する
エンドユーザへの「システムの使い方説明」や「マニュアルの作成」 - 役割
今までの役割よりも、ワンランク上(責任重)の役割のこと。
例1)プログラミング主体のプログラマ ⇒ システム要件の取纏めや、
設計書の作成を行うシステムエンジニア
例2)プロジェクトの1メンバー ⇒ スケジュールの管理、
チームメンバーへのタスクの割り当てを行うリーダへの昇格
上記の場合、言うまでもなく、報酬UPの交渉を行うチャンスとなります。「役割の変更に伴う責任範囲の拡大に繋がるので、契約内容の変更のご検討をお願いします」という内容での交渉を依頼する事は、お客さん側にとっても納得できることです。
どの程度、報酬がUPされるかは未知数ですが、このチャンスを生かし交渉を行う事をお勧めします。
1⃣-4 別案件を紹介してもらう時
フリーランスエンジニアは、働き方の性質上お客さんのプロジェクトを転々とします。一つの案件が終了すると、次の案件を探します。その際、継続して同じ営業担当者に次の案件紹介を依頼する場合、希望報酬額のUP↑↑を依頼するのが良いです。「前回の案件では、55万円/月だったので、次は60万円/月が良いです」と言った感じです。
「一つ前の案件を通して身に付けたスキルや、経験値を加味した金額」と言う事で、希望を出すのはとても自然です。ただし、これを行うには前提条件があります。それは、一つ前の案件で結果を出している事です。その結果を持って、金額UPの希望を出すことが重要です。
結果を出していなければ、営業担当者は金額UPに納得してくれないでしょうし、お客さんへのアピールを控えてしまいます。そのため、一つ前の案件で、お客さんからある一定の評価、スキルや能力の向上を達成している事が重要となります。
一方、違う営業担当者に仕事紹介をお願いする際は、一つ前の案件での評価は知らないので、経歴書をしっかりと更新し、経歴を説明・アピールできるようにする事で、報酬金額UPに繋げてください。
2⃣ 報酬UPの交渉時の注意点
上記1⃣で記載した交渉のタイミングですが、注意事項が3点あります。
2⃣-1 直接お客さんと交渉するのはNG
上記1⃣-1~3に付いて、直接お客さんへ交渉を持ち掛けるのはNGです。自分の担当営業を通して交渉を行ってください。理由は、お客さんは同じプロジェクトのメンバーなので、交渉がこじれると、その後の仕事に悪い影響を及ぼすリスクがあるからです。お金に関する事はとても繊細です。一つ間違えると、人間関係に影響を及ぼすリスクがありますので、交渉を得意とする営業担当者にお願いするのが得策です。
2⃣-2 満額の回答をもらえる保証はない
報酬UPの交渉を営業担当者を通して、お客さんと行うのですが、必ずしも報酬がUPするという保証はないです。お客さんにも考え、都合があるので、それは理解する必要があります。ただ、ゼロ回答はとてもきついので、満額ではなくても一部要望は承諾してもらえるように営業担当者と相談しながら交渉するのが良いです。
もしゼロ回答の場合、その理由はしっかりと確認しましょう。おそらく理由は、耳に痛い内容かと思いますが、逆にその部分を直せば報酬UPに繋がるとポジティブに考えるように努めると良いです。難しい事ですが、少しづつ出来るようにすると良いです。
2⃣-3 交渉材料の収集
上記の様に、交渉のタイミングはとても重要ですが、加えて交渉の内容も重要になります。どんなに絶妙のタイミングで交渉に持ち込んでも、アピールする内容が乏しければお客さんを納得する事は出来ません。そのため、日ごろの業務を通して、交渉材料を集めておく事をお勧めします。
交渉材料は、プロジェクトへどのように貢献したか、がポイントになります。そのため、どのような成果物を作成したのか、どんな役割でチーム運営に貢献したのかなど、日ごろから箇条書きにしておくと良いです。
3⃣ まとめ
この記事では、報酬UPの交渉の4つのタイミングと交渉の注意点について記載しました。
フリーランスエンジニアは、スキル・経験値を持っていても、何もしなければ報酬UPには繋がりません。自分の持っているスキル・経験値そして成果をお客さんにアピールする事で、報酬UPのチャンスを手に入れる事ができます。
しかし、アピール=交渉は、自分の都合だけで行ってもうまく行きません。相手が居て初めて交渉が成立するので、最適なタイミング見計らって行う事をお勧めします。そしてその際、営業担当者の力をうまく活用する事が重要です。