会社員とフリーランスエンジニアの違いは、大きく言うと「組織に属して仕事をするか」「個人として仕事をするか」の違いになります。たったそれだけの違いですが、それによあらゆる点で、評価が異なります。
この記事では、「信用」と「保障」の観点から、「会社員とフリーランスエンジニアを比較・評価」します。
評価は、作者の経験と考えから一方的な評価となっておりますのでご了承ください。こうゆう風に考えている人がいるんだな~くらいの感覚で、記事をご覧いただけると嬉しいです。
「収入と時間の観点からのフリーランスエンジニアと会社員の比較」については、「フリーランスエンジニアと会社員を比較してみた -お金と時間編-」をご覧ください。
1⃣ 会社員とフリーランスエンジニアの総合評価
以下の表は、5つの項目ごとに、フリーランスエンジニアと会社員を比較した結果です。比較項目は「社会的信用」「社会保障」「労働基本権」「老後の安定」「人間関係」の5つとなります。
総合評価としては「会社員」の方が有利な結果になっています。評価の詳細については、以下2⃣~6⃣をご覧ください。

2⃣ 社会的信用
評価は、「フリーランスエンジニア:2」「会社員:5」とさせて頂きました。
以下、それぞれの評価の理由です。
社会的信用は、やはり会社員への信用が、フリーランスエンジニアを圧倒していますね。
フリーランスエンジニアの働き方は、今とても注目されています。しかし、「フリーランスエンジニア = ”収入が不安定”、”身分保障が不十分”、”社会保障が弱い”」など、様々な理由で、フリーランスエンジニアの社会的信用度は低いです。
社会信用度が低いことによる具体的な影響は、クレジットカードが作りにくい、ローンが組みにくいなど、お金に関する部分で警戒される事が多いです。また、以前参加した案件で知り合ったプロパー(会社員)の方は、結婚を期にフリーランスエンジニアを辞めて会社員になったと言っていました。
と言う事で「注目されているけど、まだまだ社会的な信用はかなり低いので、評価2」にしました。
一方、会社員の場合、言うまでもなく社会的な信用はMAXです。会社の規模や知名度にもよりますが、「会社員=信用できる」と受け止められるケースが、多いと思います。
と言う事で、「あきらかに信用度は抜群なので、評価5」に設定しました。
3⃣ 社会保障の充実度
評価は「フリーランスエンジニア:2」「会社員:4」とさせて頂きました。
以下、それぞれの評価の理由です。
社会保障の充実度は、フリーランスエンジニアよりも会社員の方が手厚いです。
会社員の雇用保険は、仕事が無くなった時に、一時的ですが生活を保障してくれます。厚生年金は、将来の受給額はフリーランスエンジニアの国民年金よりも多いです。なによりも会社側が半額を負担してくれます。また、労災保険は、仕事中や通勤途中の事故でケガをしたら保障してくれます。そして、全額会社側が負担します。会社員向けの社会保障の範囲は広く、充実していると思います。
ただ一方で、社会保障で支払われる金額は、十分かと言うとそうとは言い切れないと思います。例えば、老後の生活は、厚生年金だけで十分かと言うと、そうとは言い切れないです。また、雇用保険は、会社員時代の収入によって受給額が上下します。
と言う事で「社会保険は、保障の範囲はとても広いですが、受給金額が十分とは言い切れないので、評価4」に設定しました。
フリーランスエンジニアには、そもそも雇用保険と労災保険が無いです。なので、本業で収入が途絶えた時にセーフティネットから洩れますし、仕事中の事故でケガをしたら100%自腹です。
また、国民年金の将来の受給金額は、会社員の厚生年金よりも低い金額となります。必要最低限の保障しかないですし、必要最低限に達しているかも疑問です。
と言う事で「フリーランスエンジニアの社会保障は、あまり良い所が無いですが、無いよりマシと言う事で、評価2」にしました。
4⃣ 労働法による保護
評価は、「フリーランスエンジニア:1」「会社員:4」とさせて頂きました。
以下、それぞれの評価の理由です。
労働法とは、労働者の地位の保護、向上を規整する法の総称です。この法により、労働者は、労働時間・賃金(残業代)・雇用・労働保険などが守られます。
会社員は、この労働法が適用されており、法律上、労働環境が守られています。
ただ、ブラック企業がある事も事実です。会社は閉鎖空間なので、この法律どこまで遵守されているかは、疑問が付きまといます。
と言う事で「会社員は、労働法により労働環境は守られているが、会社側が遵守していない場合もあるので、評価4」に設定。
一方、フリーランスエンジニアは、労働法は適用外となります。そのため、なんの恩恵もないので、言うまでもなく評価1となります。
フリーランスエンジニアの働き方は、「自由」ですが、その分「法の保護は弱い」と言う事ですね。「自分の身は、自分で守る」事が重要です。
※労働法はいくつかの法律の総称となっており、労働法という法律はありません。
労働法を構成する代表的な法律は、以下の通りです。
「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」「最低賃金法」,「労働契約法」,
「男女雇用機会均等法」,「労働者派遣法」
(労働法の概要については、こちらを参照ください。)
5⃣ 老後の安心
評価は「フリーランスエンジニア:3」「会社員:4」とさせて頂きました。
以下、それぞれの評価の理由です。
老後の安心は、会社員の方が安心度は高いと思います。
会社の規模や給与にもよりますが、厚生年金の積立(従業員と会社の折半)による受給額は、フリーランスエンジニアの国民年金の受給額よりも多いです。また、引退時には退職金を受け取る事ができます。
と言う事で、「会社員の場合、会社の規模や、給料の多さにも寄りますが、厚生年金の手厚さや退職金により、老後はフリーランスエンジニアよりも安心度が高い」点から、評価4に設定。
一方、フリーランスエンジニアは、退職金はないです。また、国民年金の受給額は、会社員の厚生年金の受給額よりも低いので、老後の資金は明らかに足りないです。
そのため、「国民年金基金」「小規模企業共済」などの「公的な積立制度」の活用や、「株」や「投資信託」などの「投資」を行い、将来の老後に備えることが必須です。もちろん会社員も積立制度や投資が必要かと思いますが、フリーランスエンジニアに取っての積立や投資の必要性は、会社員よりも高いと思います。
と言う事で「現状の制度では老後に希望は無いので、積立や投資で今から準備を行う必要がある」との点から、評価3に設定。
6⃣ 人間関係
評価は、「フリーランスエンジニア:4」「会社員:2」とさせて頂きました。
以下、それぞれの評価の理由です。
人間関係の煩わしさ(面倒くさい)については、フリーランスエンジニアの方が会社員よりも楽だと思います。
会社員の場合、縦社会の会社組織の中で、先輩や上司との関係がとても重要になり、関係の構築・維持のためいろいろと気を使います。ひと昔程の「忖度」や「縛り」は無くなっているとは思いますが、まだまだ根は深いのではないでしょうか。また、一度人間関係がこじれても、仕事から離れる分けには行かないので、「ガマン⇒ストレス↑」になりやすいのではないかと思います。
ただ、日常業務では、先輩や上司からのサポートやアドバイスをしてもらえる事で、成長する事ができます。
と言う事で「上司や先輩からは、サポートやアドバイスのメリットがあるが、それ以上に気を使う」ため、評価2に設定しました。
一方、フリーランスエンジニア(個人事業主)は、基本「個人」なので、先輩や上司はおりません。また、同僚も居ないです。さらに、案件から案件を渡り歩くため、特定の人と長い付き合いも無いです。なので、人間関係での「しがらみ」は、とても少ないです。
その代わり、サポートやアドバイスをしてもらえる事は少ないので、自分の力で成長する事が求められます。また「孤独」です。フリーランスエンジニアになってから、仕事場で「本当に一人だな~」「ポツンとしてるな~」と感じる時は、しばしばあります。
でもフリーランスエンジニアは、個人事業主なので、孤独なのは当たり前ですし、それ以上に人間関係の「しがらみ」が無い事によるメリットの方が大きいと思います。
と言う事で「孤独だけど、人間関係の”しがらみ”は、ほぼ無くてウェーイ」と言う事で、評価4に設定しました。
7⃣ まとめ
今、フリーランスエンジニアと言う働き方は注目されています。会社員と比べて「高収入で自由なイメージ」があり、多くの人が興味を持っていると思います。
ただ、フリーランスエンジニアは良い事だけではありません。メリットもあれば、デメリットもあります。また、一方で会社員としての働き方にも、メリット・デメリットはあります。
メリットだけを見て判断をせずに、デメリットもしっかりと理解した上で、働き方を吟味する事が大切だと思います。
上記の内容は、自身の経験からの内容となっているので、「そうかな~」「違うだろ!」と思われる部分もあると思いますが、皆さんの今後の働き方の参考にしてもらえると嬉しいです。
フリーランスエンジニアのメリ/デメについては、以下の記事をご覧ください。