システムエンジニアのフリーランスは、自分で案件を探す必要があります。その際、直接お客さんに営業を掛ける事は、極まれです。ほとんどの場合は、エージェントやSES企業に、案件の紹介(仲介)を依頼し、営業担当者と連携しながら案件を探します。
案件探しは、言い換えると「案件の奪い合い」となります。なぜなら数多くのエンジニアが、フリーランスとして活動しており、常に条件の良い案件を求めているからです。良いなと思った案件も、数時間後には、他のエンジニアに取られている事は珍しくありません。
この記事では、他のエンジニアとの「案件の奪い合い」で勝つためのポイントについて記載します。
また、見つけた案件を確実に獲得するには、お客様との面談で如何に自分をアピールするかが重要になります。その際、技術経歴書の説明が重要な要素となります。技術経歴書の説明方法については、面談での経歴書の説明ポイントをご覧ください。
1⃣希望は、絞り込み・キーワード化・ 優先順位
案件を探す際、エンジニアは営業担当者に自分の経歴書を渡します。また、それと併せて自分が参加したい案件の希望を伝えます。契約金額、ロケーション、プログラム言語、役職など、エンジニア毎にいろいろあります。中には、服装が私服の案件を希望するエンジニアも居ます。
希望を営業担当者に伝える時、あれやこれやと思いつく希望を、だらだらと伝えるのはNGです。なぜなら、営業担当者は、沢山のエンジニアへ案件を紹介しているからです。エンジニアから見れば、エンジニアと営業担当者は1対1の関係ですが、営業担当者から見れば1対多となります。そのため、営業担当者は、全ての希望を覚える事はできません。また、営業担当者はITに詳しいわけではないので、ITに関連する事を細かく伝えられても、理解できない事があります。
その結果、営業担当者は、エンジニアがどのような案件を希望しているのか正確に把握できなくなり、エンジニアに案件を紹介しづらくなってしまいます。そうすると、本来希望している案件が紹介されず、他のエンジニアに、取られてしまいます。
その様にならないために、営業担当者に希望を伝える時は、以下のポイントを抑えると良いです。営業担当者も、多くのエンジニアを抱えているとは言え、2~3の希望なら覚えられますし、優先順位が決まって入れば案件を紹介しやすいです。また、希望をキーワード化する事で、より希望を覚えてもらえます。
- 2~3の希望に絞り込み
- 優先順位
- 希望はキーワード化
例えば「①金額70、②リモート可、③Python」とすれば、「優先順位順に、契約金70万円、在宅での作業可、Pythonでの開発案件」と言う事になります。この程度で希望を伝えて、後は案件が紹介された時に内容をしっかりと吟味するのが良いですよ。
2⃣案件探しは、ギャンブル
案件を探す際、営業担当者に経歴書と希望を伝え、1日~数日後に案件の情報が送付(メール、LINEなど)されて来ます。案件内容については、分からない事や、自分の希望が含まれているのか等について、営業担当者に確認できます。ただ、要注意なのは、すぐに回答が返ってこない場合があります。理由は、営業担当者が案件の詳細まで把握できていないケースが多いからです。そのため、営業担当者はお客さん(案件のオーナー)に確認するわけですが、お客さんからの回答が遅くなる事があります。
そうすると、回答を待っている間に、他のエンジニアにその案件を取らてしまうリスクがあります。そのため、「回答が遅い、でも興味のある案件」の場合は、積極的に面談に臨み直接お客さんに質問する事をお勧めします。そして、営業担当者への確認、お客さん(面談)への確認を通して分かった事、そして結局分からなかった事を、天秤にかけて、案件に参加する/しないを決める事をお勧めします。
不明確な点については、案件に参加しないと分からない事なので、後は「運を天に任せる」事になります。要はギャンブルです。不明確な点が、自分の希望通りならばラッキー、そうじゃなければ「そんなもん」で頭を切り替える事が大切です。
確実に条件の良い案件を獲得するため、質問をして慎重になる気持ちは理解できます。しかし、慎重になりすぎると、他のエンジニアに案件を奪われる可能性が多くなります。そのため、案件情報に多少不確定な要素があっても、興味が有りいくつかの希望がマッチしていれば、思い切って獲得しに行く事も大切です。
3⃣1つの案件にこだわらない
案件を探していると、「これだっ!」と言う案件を見つける時があります。もちろん、営業担当者に面談設定の依頼を出します。しかし、面談を依頼したにもかかわらず、お客さんからの返事がなかなか来ない場合があります。
その場合、きっぱりと切替えて他の案件の検討を行う事をお勧めします。フリーランスの案件探しは、お客さんからの評価・興味が高ければ、すぐに返事がきます。しかし、なかなか返事が来ないのであれば、お客さんからの評価がそこまで高くないと考えられます。
お客さんからの面談実施の返事ですが、だいたい2~4日で来ます。2~4日の間で来なければ、お客さんは他のエンジニアを優先して面談を進めていると考えて良いです。たとえ、何とか面談まで行けても、面談でOKが出る確率は高くないでしょう。
また、案件は1件だけではありません。市場は、数えきれない案件で溢れています。そのため、希望の案件を逃したとしても、他にも同じような、もしかしたらそれ以上の案件を見つけられるかもしれません。
一つの案件に拘って、チャンスを逃すよりも「数打てば当たる」くらいの勢いでどんどんと案件情報を紹介してもらい、検討する事をお勧めします。
4⃣新しい事への挑戦による継続した成長
案件を探す際、やはり自分のできる技術などに関連する案件を探したくなります。その方が安心ですし、仕事も順調に進みます。もちろん、それは正しい事です。しかし、できる事だけをしていても、時間とともに求められる事が変わり、気づいた時には、求められる事と自分の能力にギャップが生まれてしまいます。そうすると、自分の希望した案件が、他のエンジニアに取られてしまいます。
そのような状況にならないために、自分を成長させることが重要です。そして成長するためには、勉強と挑戦が必要です。IT業界で求められている事や新しい技術に関する情報にアンテナを張り、積極的に新しい事を学び、そして未経験の案件へ挑戦することが大切です。
例えば、今まで設計・プログラミングを主体にやってきたのであれば、次はお客さんへの要件定義を担当する仕事、または今まではJavaメインであれば、今後はPythonが注目を集めそうなので、思い切ってPythonの案件に飛び込む。と言った感じです。
ただ、勉強のみで実戦経験がない期間は、案件が見つかり難く、また案件に参加できたとしても自分の望むタスクができないなど、ダウンタイムがあります。しかし、そのダウンタイムの先に、新たな自分の活躍できる案件があります。なので、昭和的な精神論になりますが、苦しくても継続する事が大切です。
勉強と挑戦を通して、自分のフリーランスエンジニアとしての価値が向上し、結果他のエンジニアにま負けないで、希望案件を獲得し続ける事ができます。
ただし、案件を変えるたびに、新しい事ばかりに挑戦すると疲弊してしまいます。フリーランスは、雇用保険などの保証がないので体が資本です。なので、自分の経験値や思い・社会情勢を踏まえて、挑戦する案件と安全圏(経験の範囲内)の案件を切り分けるのが良いです。
5⃣まとめ
エンジニアフリーランスの業界では、日々案件情報は目まぐるしく動いています。紹介された時は募集中でも、半日過ぎると技術者が決まっている場合も多々見られます。そのため、営業担当者に正確に且つ効率的に案件の希望を伝え、どの案件で面談に臨むか、どのタイミングで諦めるかなどスピード感をもって意思決定をする必要があります。
紹介される案件情報からだけでは、案件の全容が分からないです。それでも判断をしなければならないので、ギャンブルです。しかし、そうしないと他のエンジニアに案件を奪われてしまい、結果フリーランスとしての活動が難しくなってしまいます。
そのため、ITの技術や知識を増やす事は、もちろん大事ですが、自分の案件獲得のやり方・スタイルを、早く確立する事が重要です。